PMTC・歯のクリーニング完全解説
バイオフィルム・歯石・スケーリングの違いとは
「自分でちゃんと磨いているから大丈夫」は、残念ながら通じません。歯ブラシでは絶対に取れない汚れがあります。その正体と、プロケアが必要な理由をお伝えします。
歯ブラシで取れるもの・取れないものまず知っておくこと
「しっかり磨いているから歯科に行かなくていい」という考え方は、残念ながら正しくありません。まずセルフケアとプロケアで取れるものの違いを整理します。
- 食べかす
- 形成から24時間以内の柔らかい歯垢
- 歯の表面の軽い汚れ
- ※正しい磨き方が前提
- 成熟したバイオフィルム(細菌の膜)
- 歯石(石灰化した歯垢)
- 歯周ポケット内の汚れ
- コーヒー・タバコ等による着色
どんなに丁寧に磨いても、歯と歯の間・歯と歯ぐきの境目・奥歯の溝には必ず磨き残しができます。これは技術の問題ではなく、歯ブラシの構造上の限界です。セルフケアとプロケアの両輪が、虫歯・歯周病を防ぐための本当の予防歯科です。
バイオフィルムとは何か歯科クリーニングの本題
歯科クリーニングで最も重要な概念が「バイオフィルム」です。
歯の表面に付着した歯垢(プラーク)は、48〜72時間で「バイオフィルム」と呼ばれる成熟した細菌の集合体に変化します。バイオフィルムの中では、細菌たちが集団でポリサッカライドという粘着性の膜を作り、外部からの攻撃から互いを守り合います。
バイオフィルムは歯の表面にべったりと固着しており、歯ブラシの物理的な力ではほとんど除去できません。
洗口液・うがい薬もバイオフィルムの外層までしか届かず、内部の細菌には効果がありません。
バイオフィルム内の細菌は通常の10〜1000倍の抗菌薬耐性を持つとされています。
専用の回転器具と研磨ペーストを使ったPMTCが、バイオフィルムを物理的に除去する唯一の方法です。
歯石ができるメカニズム放置するとどうなる
バイオフィルムを放置すると、唾液中のカルシウム・リンが沈着して石灰化が始まります。これが歯石です。歯石は歯ブラシではまったく取れない硬い石のような物質です。
- 食後から細菌が歯の表面に付着し始める
- この段階なら正しいブラッシングで除去可能
- 就寝前の仕上げ磨きが最重要なのはこのため
- 細菌が膜を形成して集団防衛態勢に入る
- 歯ブラシ・うがいでは除去不能になる
- PMTCによる除去が必要な段階
- 唾液中のカルシウム・リンが沈着
- 歯石の前駆体(石灰化途上の歯垢)が形成
- まだ比較的柔らかいうちに除去が望ましい
- 歯ブラシでは絶対に取れない硬い石灰化物に
- 歯石自体が歯周病菌の温床・足場になる
- スケーリング(歯科器具)でのみ除去可能
PMTCとスケーリングの違いよく混同される2つの処置
「クリーニング」と一口に言っても、処置の目的・対象・費用が異なります。
| 項目 | PMTC | スケーリング |
|---|---|---|
| 正式名称 | Professional Mechanical Tooth Cleaning | 歯石除去(超音波・手用スケーラー) |
| 対象 | バイオフィルム・着色・細かい汚れ | 歯石(石灰化した歯垢) |
| 使用器具 | 回転カップ・ブラシ+研磨ペースト | 超音波スケーラー・手用スケーラー |
| 保険適用 | ❌ 自費診療(保険適応の場合もあり) | ◯ 保険適用(歯周病治療として) |
| 費用目安 | 2,000〜3,500円程度/回(3割負担)/回(自費の場合あり) | 2,000〜3,500円程度/回(3割負担) |
| 効果 | 虫歯・歯周病予防・着色除去 | 歯石除去・歯周病の進行防止 |
歯石が多い方はスケーリングを優先し、その後PMTCでバイオフィルムを除去します。歯石が少ない方は主にPMTCでのメンテナンスが中心になります。世田谷通りリキ歯科・矯正歯科では口腔内の検査後に最適な組み合わせをご提案します。
歯周ポケット内のクリーニング歯ブラシが届かない場所
歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」と呼ばれる溝があります。健康な状態では深さ1〜2mmですが、歯周病が進行すると4mm以上に深くなります。
歯ブラシの毛先はポケット内に届きません。ポケット内に溜まったバイオフィルム・歯石(縁下歯石)は、歯周病を悪化させる最大の原因のひとつです。
ポケット内の歯石除去(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)は保険適用の処置です。歯ぐきの下の歯石を除去し、歯の根の表面を滑らかにすることで、歯周病の進行を止めます。ポケットが深い場合は複数回に分けて処置します。
3〜4ヶ月に1回が科学的に正しい理由頻度の根拠
「3〜4ヶ月に1回」という頻度は、バイオフィルムの再形成サイクルに基づいています。
PMTCでバイオフィルムをリセットしても、約3〜4ヶ月で再び成熟した状態に戻ります。このサイクルに合わせてクリーニングすることで、常にバイオフィルムが成熟する前の状態を保てます。
- バイオフィルムが成熟する前にリセット
- 歯石の蓄積を最小限に抑えられる
- 虫歯・歯周病リスクが大幅に低下
- 毎回のクリーニング時間が短く済む
- 長期的な治療費を大幅に抑えられる
- 成熟したバイオフィルムが3〜9ヶ月放置される
- 歯石が厚く蓄積する
- 歯周ポケットが深くなりやすい
- クリーニングに時間・処置が増える
- 虫歯・歯周病の発見が遅れやすい
喫煙者・糖尿病の方・歯周病の既往がある方・矯正中の方は、バイオフィルムの形成が早く歯周病リスクが高いため、1〜2ヶ月に1回の頻度を推奨することがあります。お口の状態に合わせた間隔を初回来院時にご提案します。
費用・保険適用について料金の目安
リキ歯科では全てトータルで2,500〜3,500円程度です
| 処置 | 保険適用 | 費用目安 | 推奨頻度 |
|---|---|---|---|
| 定期検診・歯周病検査 | ◯ 保険適用 | 1,000〜2,000円程度(3割負担) | 3〜6ヶ月に1回 |
| スケーリング(歯石除去) | ◯ 保険適用 | 2,000〜3,500円程度(3割負担) | 3〜6ヶ月に1回 |
| SRP(歯周ポケット内歯石除去) | ◯ 保険適用 | 3,000〜6,000円程度(3割負担) | 症状に応じて |
| PMTC(バイオフィルム除去) | ◯ 保険適用 | 3,000〜10,000円程度 | 3〜4ヶ月に1回 |
| フッ素塗布(成人) | ❌ 自費 | 1,000〜3,000円程度 | 3〜4ヶ月に1回 |
「まず状態を確認してほしい」という方は、保険適用の定期検診・スケーリングから始めていただけます。口腔内の状態を確認した上で、PMTCが必要かどうかを含めたケア計画をご提案します。
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