第2期・第1週|クリーニング・予防歯科

PMTC・歯のクリーニング完全解説
バイオフィルム・歯石・スケーリングの違いとは

「自分でちゃんと磨いているから大丈夫」は、残念ながら通じません。歯ブラシでは絶対に取れない汚れがあります。その正体と、プロケアが必要な理由をお伝えします。

世田谷通りリキ歯科・矯正歯科|院長 西山 力|更新日:2025年

歯ブラシで取れるもの・取れないものまず知っておくこと

「しっかり磨いているから歯科に行かなくていい」という考え方は、残念ながら正しくありません。まずセルフケアとプロケアで取れるものの違いを整理します。

歯ブラシ・フロスで取れるもの
  • 食べかす
  • 形成から24時間以内の柔らかい歯垢
  • 歯の表面の軽い汚れ
  • ※正しい磨き方が前提
歯ブラシでは取れないもの
  • 成熟したバイオフィルム(細菌の膜)
  • 歯石(石灰化した歯垢)
  • 歯周ポケット内の汚れ
  • コーヒー・タバコ等による着色

磨き残しのない人はいない

どんなに丁寧に磨いても、歯と歯の間・歯と歯ぐきの境目・奥歯の溝には必ず磨き残しができます。これは技術の問題ではなく、歯ブラシの構造上の限界です。セルフケアとプロケアの両輪が、虫歯・歯周病を防ぐための本当の予防歯科です。

バイオフィルムとは何か歯科クリーニングの本題

歯科クリーニングで最も重要な概念が「バイオフィルム」です。

歯の表面に付着した歯垢(プラーク)は、48〜72時間で「バイオフィルム」と呼ばれる成熟した細菌の集合体に変化します。バイオフィルムの中では、細菌たちが集団でポリサッカライドという粘着性の膜を作り、外部からの攻撃から互いを守り合います。

歯ブラシが効かない

バイオフィルムは歯の表面にべったりと固着しており、歯ブラシの物理的な力ではほとんど除去できません。

うがいが効かない

洗口液・うがい薬もバイオフィルムの外層までしか届かず、内部の細菌には効果がありません。

抗菌薬も効きにくい

バイオフィルム内の細菌は通常の10〜1000倍の抗菌薬耐性を持つとされています。

PMTCでのみ除去できる

専用の回転器具と研磨ペーストを使ったPMTCが、バイオフィルムを物理的に除去する唯一の方法です。

歯石ができるメカニズム放置するとどうなる

バイオフィルムを放置すると、唾液中のカルシウム・リンが沈着して石灰化が始まります。これが歯石です。歯石は歯ブラシではまったく取れない硬い石のような物質です。

0〜24h

食後すぐ〜24時間
歯垢(プラーク)が形成される
  • 食後から細菌が歯の表面に付着し始める
  • この段階なら正しいブラッシングで除去可能
  • 就寝前の仕上げ磨きが最重要なのはこのため

48〜72h

48〜72時間
バイオフィルムに成熟
  • 細菌が膜を形成して集団防衛態勢に入る
  • 歯ブラシ・うがいでは除去不能になる
  • PMTCによる除去が必要な段階

2週間〜

2週間以降
石灰化が始まる
  • 唾液中のカルシウム・リンが沈着
  • 歯石の前駆体(石灰化途上の歯垢)が形成
  • まだ比較的柔らかいうちに除去が望ましい

数週間〜

数週間〜数ヶ月
完全な歯石に硬化
  • 歯ブラシでは絶対に取れない硬い石灰化物に
  • 歯石自体が歯周病菌の温床・足場になる
  • スケーリング(歯科器具)でのみ除去可能

PMTCとスケーリングの違いよく混同される2つの処置

「クリーニング」と一口に言っても、処置の目的・対象・費用が異なります。

項目 PMTC スケーリング
正式名称 Professional Mechanical Tooth Cleaning 歯石除去(超音波・手用スケーラー)
対象 バイオフィルム・着色・細かい汚れ 歯石(石灰化した歯垢)
使用器具 回転カップ・ブラシ+研磨ペースト 超音波スケーラー・手用スケーラー
保険適用 ❌ 自費診療(保険適応の場合もあり) ◯ 保険適用(歯周病治療として)
費用目安 2,000〜3,500円程度/回(3割負担)/回(自費の場合あり) 2,000〜3,500円程度/回(3割負担)
効果 虫歯・歯周病予防・着色除去 歯石除去・歯周病の進行防止
どちらが必要かは口腔内の状態による

歯石が多い方はスケーリングを優先し、その後PMTCでバイオフィルムを除去します。歯石が少ない方は主にPMTCでのメンテナンスが中心になります。世田谷通りリキ歯科・矯正歯科では口腔内の検査後に最適な組み合わせをご提案します。

歯周ポケット内のクリーニング歯ブラシが届かない場所

歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」と呼ばれる溝があります。健康な状態では深さ1〜2mmですが、歯周病が進行すると4mm以上に深くなります。

歯ブラシの毛先はポケット内に届きません。ポケット内に溜まったバイオフィルム・歯石(縁下歯石)は、歯周病を悪化させる最大の原因のひとつです。

歯周ポケット内の処置(SRP・ルートプレーニング)

ポケット内の歯石除去(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)は保険適用の処置です。歯ぐきの下の歯石を除去し、歯の根の表面を滑らかにすることで、歯周病の進行を止めます。ポケットが深い場合は複数回に分けて処置します。

3〜4ヶ月に1回が科学的に正しい理由頻度の根拠

「3〜4ヶ月に1回」という頻度は、バイオフィルムの再形成サイクルに基づいています。

PMTCでバイオフィルムをリセットしても、約3〜4ヶ月で再び成熟した状態に戻ります。このサイクルに合わせてクリーニングすることで、常にバイオフィルムが成熟する前の状態を保てます。

3〜4ヶ月に1回のケース
  • バイオフィルムが成熟する前にリセット
  • 歯石の蓄積を最小限に抑えられる
  • 虫歯・歯周病リスクが大幅に低下
  • 毎回のクリーニング時間が短く済む
  • 長期的な治療費を大幅に抑えられる
半年〜1年に1回のケース
  • 成熟したバイオフィルムが3〜9ヶ月放置される
  • 歯石が厚く蓄積する
  • 歯周ポケットが深くなりやすい
  • クリーニングに時間・処置が増える
  • 虫歯・歯周病の発見が遅れやすい

リスクが高い方は間隔を短くすることも

喫煙者・糖尿病の方・歯周病の既往がある方・矯正中の方は、バイオフィルムの形成が早く歯周病リスクが高いため、1〜2ヶ月に1回の頻度を推奨することがあります。お口の状態に合わせた間隔を初回来院時にご提案します。

費用・保険適用について料金の目安

リキ歯科では全てトータルで2,500〜3,500円程度です

処置 保険適用 費用目安 推奨頻度
定期検診・歯周病検査 ◯ 保険適用 1,000〜2,000円程度(3割負担) 3〜6ヶ月に1回
スケーリング(歯石除去) ◯ 保険適用 2,000〜3,500円程度(3割負担) 3〜6ヶ月に1回
SRP(歯周ポケット内歯石除去) ◯ 保険適用 3,000〜6,000円程度(3割負担) 症状に応じて
PMTC(バイオフィルム除去) ◯ 保険適用 3,000〜10,000円程度 3〜4ヶ月に1回
フッ素塗布(成人) ❌ 自費 1,000〜3,000円程度 3〜4ヶ月に1回
初回は保険の定期検診から始められます

「まず状態を確認してほしい」という方は、保険適用の定期検診・スケーリングから始めていただけます。口腔内の状態を確認した上で、PMTCが必要かどうかを含めたケア計画をご提案します。

よくある質問(FAQ)疑問を解消

QPMTCとスケーリングの違いは何ですか?
Aスケーリングは歯石を除去する保険適用の処置です。PMTCは専用器具とペーストでバイオフィルム・着色を磨き上げる自費処置です。歯石除去がスケーリング、バイオフィルム除去がPMTCという役割の違いがあり、口腔内の状態に応じて組み合わせます。

Qバイオフィルムはなぜ歯ブラシで取れないのですか?
Aバイオフィルムは細菌が集団でポリサッカライドという粘着性の膜を作り、歯の表面に固着した状態です。うがい・抗菌薬も効きにくく、PMTCによる物理的な除去が唯一の方法です。

Qクリーニングは何ヶ月に1回受けるべきですか?
A3〜4ヶ月に1回が科学的に推奨される頻度です。バイオフィルムは約3〜4ヶ月で再び成熟するため、このサイクルに合わせてリセットすることが最も効果的です。リスクが高い方は1〜2ヶ月に1回を推奨する場合もあります。

Q自分でしっかり磨いていれば歯科クリーニングは不要ですか?
Aいいえ、不要ではありません。どんなに丁寧に磨いても必ず磨き残しができ、成熟したバイオフィルム・歯石は歯ブラシでは取れません。セルフケアとプロケアの両方が虫歯・歯周病予防に必要です。

Q歯のクリーニングの費用はいくらですか?保険は使えますか?
Aスケーリングは保険適用で3割負担の場合2,000〜3,500円程度が目安です。PMTCは自費診療で3,000〜10,000円程度が目安です。「世田谷通りリキ歯科・矯正歯科ではスケーリング・PMTC一緒に保険適応で行います、費用はおよそ2,500円程度です。口腔内の状態を確認した上で最適な組み合わせと費用をご説明します。

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